“許し”とは自然に訪れるもの。
「許し」と聞くと“許してあげなければならないもの”“心が広い人だけができるもの”そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。でも本当の許しとは、自分の傷と丁寧に向き合った先に、静かに訪れる“結果”のようなもの。努力でひねり出すものではありません。そして必ずしも許しが訪れなくてはならない、ということでもありません。ただ、“許し”が「生きることを楽にしてくれるもの」と結びついているのも確かです。ここでは、アダルトチルドレン(AC)が抱えやすい痛みと、そこから生まれる完璧主義、そして“許し”がどのように心を軽くしていくのかを、なるべくわかりやすくお伝えしていきます。

●アダルトチルドレンの根っこにある深い自己否定感
幼い頃、気持ちを受け止めてもらえなかったり、否定され続けたりすると、心の奥にこんな思いが刻まれます。
「自分には価値がない」
「人より劣っている」
これは単なる“考え方”ではなく、身体に染みついた感覚のようなもの。自分の力だけではどうにもならないほど深いものです。アダルトチルドレン(AC)※の概念を提唱した社会心理学博士のクラウディア・ブラックも、この自己否定感こそが生きづらさの中心にあると述べています。
※詳しくは→アダルトチルドレンとそのカウンセリング
●自己否定感が完璧主義を生む
「そのままの自分では愛されない」
そんな恐れがあると、人は“完全さ”を求めます。
・完璧なら愛される
・完璧なら傷つかない
そう信じてしまうのは、とても自然なことです。けれど、完璧な人間など誰一人いません。それでも、子どもの頃に得られなかった愛を埋めようと、大人になっても頑張り続けてしまうのです。
●完璧を求めてしまう自分を許すには。
完璧主義は終わりがありません。周囲からは「十分できている」と見えても、本人にはそう感じられず、少しの失敗で心が折れてしまうこともあります。怒りや悲しみを感じるのは自然なことなのに、「こんな感情を持つ自分はダメだ」と、さらに自分を責めてしまうこともあります。
そんな自分を許すための第一歩は、
・過去の傷を認めること
・その過去は変えられないと受け入れること
この二つです。ここから、心の回復が静かに始まります。
●責任を取ることと“許すこと”は別。
誰かを傷つけてしまった時、責任を認めて謝罪することは必要です。でもそれと「自分を許すこと」は別のプロセスです。間違いを犯した自分を、“価値のない存在”として罰し続ける必要はありません。それは自己否定のループを深め、心を疲れさせてしまいます。
許しとは、「人間らしい自分を受け入れること」でもあるのです。
●自分に優しい言葉をかける。
言葉には、思っている以上に大きな力があります。幼い頃に浴びた否定的な言葉は、今も心に影響を与えています。だからこそ、少しずつ“上書き”していくことが大切でなのです。
例えばこんな言葉を、自分にかけてあげてみてください。
「自分を責め続けることで、私は何を得てきただろう?」
「私は傷つきながら必死に生きてきた。そのような自分をもう許すことにしよう」
「私は人間だ。時に過ちも犯す。そのような自分を私は許そう」
自分の限界を受け入れることは、戦いを手放し、心の落ち着きへ向かう入り口となるのです。
●他人を許すこと― 無理にしなくていい。
自分自分の不完全さを受け入れ始めると、他人もまた不完全な存在だと気づき始めます。しかし、深く傷ついた経験がある人にとって、「相手を許す」ことは簡単ではありません。
気をつけたいのは、
「許すべきだ」
「許せない自分はダメだ」
と、完璧主義の思考で自分を追い詰めてしまうこと。
大切なのは、「自分の気持ちに正直でいる」、それだけです。
● “許し”についてのよくある誤解。
許すとは、次のようなことではありません。
・忘れること
・大目に見ること
・無かったことにすること
・自分の感情を押し殺すこと
・怒りを感じないようにすること
・一瞬の決心でできること
どれも「許し」ではありません。
●許しとは、自然に訪れる“結果。
傷ついた自分と向き合い、書き出し、話し、感じるプロセスを重ねることで、心の傷は少しずつ癒えていきます。
その結果として、恨みや敵意、自己憐憫が静かに薄れていく。それが“許し”です。
許しとは、忘れることではなく、手放していくこと。涙を流し、怒りを解放するたびに、心の中に“許し”が訪れる場所が生まれていきます。
●あなたにとっての“許し”とは?
もし許せたら、楽になれる相手はいますか。その人はあなたに何をして、どんな傷を残したのでしょう。その傷は今のあなたにどんな影響を与えているでしょう。
気づいたことがあれば、書き出してみてください。ただし、傷が深い場合は一人で行わず、カウンセラーと一緒に取り組むことをおすすめします。
●ウェッピーカウンセリングルームでの取り組み。
許しが進むと、怒りや恐れが和らぎ、人間関係が少しずつ楽になっていきます。完璧主義の苦しさも、ゆっくりとほどけていくでしょう。
ただし、許しは義務ではなくゆっくりと入ってくるもの。100%許せなくても大丈夫。あなたが少しでも楽になれたら、それで十分です。
当カウンセリングルームのカウンセラーもまた、ACとしての生きづらさを経験し、それを乗り越えてきました。その経験をもとに、あなたのペースに寄り添いながら、無理のない心理療法※をご提供します。
あなたの心が、少しずつ軽くなっていきますように。
※詳しくは→心理療法のご紹介
