アダルトチルドレンで生きづらさを抱えている方へ

アダルトチルドレンからの回復への取り組み


アダルトチルドレン・カウンセリング・イラスト

 アダルトチルドレンAC)の元々の名称の由来は、「アダルトチルドレン・オブ・アルコホーリクス」から来ています。わかりやすくいうと、「アルコール依存症の親を持ち、適切な生育環境を与えられないまま幼少期を過ごし、大人になった人達」という意味を成します。現在ではアルコール依存症の親に限らず機能不全家族の中で育った人たちの事も指すようになりました。本来は子供に取って安全基地であるはずの親が危険な存在(いつ態度が豹変するかわからず家庭内での争いごとが絶えない)であると、親の顔色を伺うようになり自尊心が育たず、対人不信、対人恐怖が精神の奥深くに刻み込まれてしまいます。その傷は成長してからもずっと本人を支配し続けて自分でもなぜだかわからないうちに人間関係で苦しみ続けることになります。治療にはカウンセリングなどを通して時間をかけて丁寧にその傷と向き合っていくことが求められます。あきらめずに対処していけば、必ず解決の道はあります。ここではアダルトチルドレンの方に向けたカウンセリングを解説いたしますので、自分も思い当たる節があるなと感じたらぜひご一読いただきたく存じます。

 

●アダルトチルドレンの心の傷はどのように影響するのでしょうか?

 

本来、乳幼児期から幼少期、少年期と養育者から健全な愛情を受けて育つことが出来た場合は、自尊心(ありのままの自分を大切に感じる心)が育ち、自分を愛する心からやがて他者を愛する心へと発展していきます。しかし、養育者からの虐待や、両親間のDV、または威圧的な態度や自己否定されるなどの緊張した状態が家庭内に存在した中で育つと、本来であれば自分自身に関心を持って育つべき幼少期を過ごすことが出来ずに、常に養育者の気分や顔色を伺って過ごさざるを得なくなります。また、親が養育者としての役割を果たせない場合は逆に子供が親の役割を強いられる場合もあります。

そのような環境の中で育つと、自尊心が育たずに成長してからも常に周囲の人間の顔色を伺うようになります。その本質には、対人不信、対人恐怖などが存在し、相手は普通の表情をしていてもアダルトチルドレンの方には怒った表情に見えて、何気ない言動で自分は嫌われたかも、怒らせてしまったのでは?、などと常にびくびくしている状態が続き疲れ果ててしまいます。必要のない媚びを売って相手の好意を得て安心を求めようとすることもあります。そして、その根底には悲しみや怒りが存在し、必要のない攻撃を相手にぶつけてしまうこともあります。しかし、本人にはその原因がわからずにどうして自分は人とうまくやっていけないのかと孤独に陥り、自己非難してさらに悪い状態へと自ら陥ってしまいます。

このようにアダルトチルドレンとして刻まれた心の傷はその人の一生に影響を及ぼし続けることになります。

 

●アダルトチルドレンから生じる2次障害。

 

上記に挙げたように、アダルトチルドレンとして生きることになると常に緊張を強いられて心休まる暇がありません。過覚醒といって頭の中は常にいろいろな人の事が気になって(一人でいる時も)、思考がぐるぐると生じています。その辛さから逃れるためにアルコールを過剰摂取したり、向精神薬や違法薬物の乱用、過食嘔吐や異性に依存したりと何らかの依存症を患ってしまうこともあり得ます。

また、幼少期の頃より脳が常に緊張状態に置かれ、発達障害の要因となったり、身体の成長に影響を及ぼしたりすることも考えられます。もともと育ってなかった自尊心はさらに傷つき、自分自身を恨んだり、社会を恨んだりするようになることもあります。最悪の場合は自ら命を絶つこともあり得ます。

 

●アダルトチルドレンからの回復。

 

アダルトチルドレンと一言にいっても、その影響の重さは個人の気質や育った環境によって違いが生じます。また、アダルトチルドレンは医学的には疾患として認められていないため、正式な診断基準もありません。しかし、その影響は多くの専門家が認めるところであり書籍も多数にわたって執筆されています。影響が軽く済めば特に専門的治療を受けなくても生きていけるかもしれませんが、受けた傷が深く重いものであればやはり専門的治療が必要です。精神科病院や心療内科クリニックを受診しても、アダルトチルドレンの診断名はつかないので、適応障害などの診断により向精神薬を処方される場合が多いのではないでしょうか。気分を安定させるなどの効果はあるかもしれませんが、アダルトチルドレンそのものに働きかけるのではないので、生きづらさそのものを改善することにはつながりません。

アダルトチルドレンは、自分でも気づかない無意識の領域に奥深く長期に渡って刻み込まれた心の傷です。それは身体にも重い影響を及ぼします。常に緊張して身体がこわばっていたり、睡眠が浅く慢性的な疲労感が生じたり、呼吸も浅い人が多く見られます。上記に挙げたように2次障害を併発すると生命そのものに悪影響を及ぼすこともあり得ます。

このように心の奥深くに思い傷が生じているアダルトチルドレンの治療には、心理カウンセリング療法を通して根気よく丁寧に時間をかけて自分が受けた無意識の中に存在する心の傷と向き合いながら癒していく作業が必要です。そのための心理療法としては、認知行動療法弁証法的行動療法再決断療法感情処理法マインドフルネス療法交流分析人生脚本分析などその人に合ったものを適宜組み合わせながら行っていくことが必要になります。また、現在の苦しみに対処するためのストレスコーピング(対処法)なども取り入れていきます。

また、アダルトチルドレンの思い障壁の一つに対人不信があります。カウンセリングで一番重要なのはご本人とカウンセラーとの信頼関係です。その信頼関係を築いていくことも回復のための重要な鍵となります。その信頼関係を丁寧に築くことの重要性も含めてアダルトチルドレンからの回復に要する時間は、数か月で回復するというようなものでないことは確かです。重ねて言いますが根気よく丁寧に年単位で回復を図っていくものです。逆に急激な回復を図るようなカウンセリングは心の傷にいきなりメスを入れるようなもので危険ですらあります。

しかし、少しでも良くなりたい、生きることが楽に感じられるようになりたい、よりよく人生をすごせるようになりたい、との思いがおありであれば、あきらめずにカウンセリングを受け続けることによって必ず回復の道はあります。どの時点を持って回復とするかは、カウンセリングを受けられる人の数だけあり、ご本人が決める事でもあります。

 

自分もアダルトチルドレンでは?今の生きづらさから少しでも脱したい!などの気持ちがおありのようでしたら、ぜひ一度ウェッピーカウンセリングルーム日野までご連絡をいただきたく存じます。お問合わせ・ご相談は無料です。あなたの心が少しでも癒されることを願って。