共依存は、特定の相手と「支配と依存の関係」に陥り、お互いに縛り合う不健康な関係とも言えます。代表的なものは母と子の関係で結ばれるケースで、母子カプセル、もしくは母子一体性と呼ぶこともあります。他にも代表的なものとしては、アルコール依存症者とそのパートナーの関係においても当てはまるケースが多く見受けられます。
母子関係で見られる要因としては、夫婦関係が悪くて満たされない思いを子供に対して過剰に接することで自分の思いを満たそうとしたり、夫からのモラハラやDVから自分の精神状態を守るために子供を過剰に愛そうとしたりするケースが考えられます。また、母親自身が子供の頃に両親から適切な愛情を受けること出来なかった場合などでも(愛着障害)、その満たされなかった思いを子供に与えることで自分の寂しかった心を埋めようとするケースもあります。その他にも、過度な心配症などから子供に対して過保護、過干渉にならずにいられずに共依存へと発展していくケースもあります。これらの要因は母親自身も気づいていないことがほとんどです。
子供の成長と共に、健康な親子関係であれば母子共に段々とお互いの事を手放していき、親離れ・子離れしていくのですが、この過干渉・過保護の関係が続くと子供が成長してからも二人は強く結ばれ続けていきます。まるで、二人で一人のような一体感が生じます。これを母子カプセル・母子一体性などと呼びます。しかし、この関係は苦しみを呼びます。母の支配から逃れたい子供、しかしそうすることで強い罪悪感に囚われてしまう苦しみ。母からみたら、こんなに子供の事を想っているのに理解してもらえない苦しみ、そして裏切られたかのような怒り。そのような愛と憎しみの中で葛藤し、もがき苦しむケースが多く見られます。
また、共依存の関係は連鎖し、子供が結婚して自分の子供を持った時に同じように共依存に陥るケースが多く見られます。これを負の連鎖と呼ぶこともあります。そして、子供が成長してパートナーを選ぶときも共依存関係に陥りそうなパートナーを選ぶ確率が高いとも言われています。このように共依存関係は、母子関係に限らずその枠を超えて広がっていくケースが多いのです。以下に共依存による生きづらさをいくつか挙げてみます。
●自分に自信が無く、人の顔色を伺うようになる。
●自分の責任ではないことでも、自分のせいではないかと感じてしまう。
●自分の思い通りにしようとする。
●人の問題に巻き込まれやすい。
●自分が本当にやりたいことがわからない。
●人から言われたことに左右されやすい。
●困っている人がいたら助けてあげなくてはと思い、それが出来ないと罪悪感を感じ自分を責めてしまう。
●人に対する嫉妬心や妬みの感情が強くなる。
これらの問題は一部に過ぎず、共依存の苦しみは多岐にわたって生じます。それを解決するには、その関係に携わっていない第三者の助けが必要です。カウンセラーは、クライエント(相談者)の方の気持ちに寄り添いながらも客観的な視点も大切に、当事者の方の問題解決に向けて共に取り組んでまいります。認知行動療法など現在における問題を客観的に捉える心理療法や、交流分析などを用いて問題の根底の部分に働きかける心理療法など、その方に適した療法を丁寧に説明しながら提供してまいります。カウンセリングの目的は、ご本人の中に元来存在する「回復していく力」に気づき、自らの力で解決して人生を歩いていけるように支援することにあります。カウンセラーはその道を共に歩んでいく伴走者でもあるのです。
共依存で苦しんでいる方やカウンセリングにご関心を抱かれた方がいらっしゃいましたら、お気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野宛までお問合わせ・ご相談いただけたらと思います。あなたの心がどうか癒されますように。
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