母と娘など、親子関係の問題に向けてのカウンセリング。

母子カプセルのイメージイラスト

 「母子カプセル」という言葉をご存じでしょうか?母親と子供の結びつきがあまりにも強くて、お互いを自立した一人の人間として認めることが出来ずに、お互いに依存しあって一つのカプセルに入っているような状態を指します。精神的に健康な状態であれば、子供はある時期から精神的に親から自立し、親の方もそれを受け容れて必要以上に介入しなくなります。それが何かしらの要因で、母は子供の自立を受け容れられずにいつまでもコントロール下に置こうとし、子供の方も母親への依存から脱却できないまま、成長してしまう事があります。支配と依存とは表裏一体の関係で俗にいう共依存状態になることがあります。これは無意識下の状態で行われ、時に反発し合いながらも離れられずに苦しむということがよく見られます。同居していなくて、離れた状態で暮らしていても、常に意識のどこかでお互いの事が気になって仕方ない状態というのも良く見られる現象です。親子関係の中でも母親と娘(息子)間で見られる事が多いようです。ここでは主に、母子関係のカウンセリングをご紹介しますので、母親や子供との関係が苦しいと感じられている方は是非ご一読いただければと存じます。あなたの心が少しでも癒されることを願って。

●母子カプセルに陥る要因にはどのようなものがあるでしょう?

例えば、母親が子供の頃に親から虐待を受けていたり、虐待にまで至らずとも、自分の事を評価してくれなかったり、否定されたりして育つとその満たされなかった思いを自分の子供に投影してしまう場合があります。投影するとは、相手に自分を映し出し、相手を自分のように錯覚してしまうような状態を指します。自分が満たされなかった思いを子供に与えることによって、安心や満足感を得ようとしてしまいます。わかりやすい例では、子供の時にピアノが好きで習いたかったのに、あなたにピアノは向かない、あなたには才能がない、等のように否定されて育ち、満たされなかった思いを自分の娘にピアノを習わせることによって埋めようとする場合などが挙げられます。たとえ娘にとっては嫌な事でも、そうさせることが愛情だと勘違いしてしまうのです。

 また、母親が夫であるパートナーとの関係がうまくいっていなかったりDVを受けたりしていると、子供に対して過剰なまでに愛情を注ぎこむことで自分の気持ちの安定を図ろうとする場合があります。過保護な状態となり、子供の自立性を奪う事にもつながってしまいます。

●母子カプセルは無意識化のうちに作られ、やがて強化されていきます。

 ここまで、母親からしてみたら厳しい言葉のように受け止められた方もいらっしゃるかもしれませんが、母親も意識して母子カプセルを築いたわけではなく、自分でも気づかない無意識化のうちに傷ついた心の傷などが大きく影響してそうなったのです。気づく術がないのですから、その関係は年月とともに強化されていきます。しかし、共依存の関係は決して健康的なものとは言えないので、子供が成長するとともに母子共に苦しみが表に現れてきます。母親を愛したいと思う気持ちと母の束縛から逃れたいと思う子の葛藤、こんなにも子の事を想っているにそれを拒否されているかのように感じる母の葛藤、いわば愛と憎しみの中でもがき苦しむような感覚に襲われるのではないでしょうか。

●カウンセリングではどのように、母子関係の問題に取り組むのでしょうか?

例えば認知行動療法(CBTを用いる方法があります。認知行動療法では具体的に相手との出来事を通して自分はどのような考えが生じるのか?その時の気分は?そして取った行動は?を紙に書き出してカウンセラーと一緒になるべく客観的に見ていくようにします。その上で他の考え方はないか?その考え方をしたとしたらどのような気分になるか?そしてどのような行動をとるだろうか?など、より健康的な考えや行動を見つけ出していきます。そして、次に同じような出来事が生じたら、新しく見つけ出した考え方や行動をとるように実践していきます。要するに、母子カプセルの中で生じている考え方や行動から、より健康的なものへの脱却を図っていくのです。

更に、認知行動療法で気づいてきた自分の考えはどのようにして起きるのか?いつからそのような考え方になったのか?その考えの奥底に潜んでいる根本の部分は何か?などを自分自身の幼少期の親との関係などを含めて深く掘り下げて見ていきます。これは、ある程度、心の痛みを伴う作業でもありますが、カウンセリングという安全の場でご自身のペースで行ってもらうようにカウンセラーがサポートしながら取り組んでいきます。その根元にあるものが相手だけではなく自分自身をも苦しめているものだと気づき始めることが大切な要素となっています。気づいてきたらそれを手放すワークを行う事もありますが、自分でその根元にあるものをもう手放したいと思えるようになることが母子カプセル、共依存からの脱却の鍵となります。

●母と子の関係は相互関係の問題でもあります。

人間関係は全てにおいてそうですが自分だけの問題ではなく、相手との相互関係の問題でもあります。しかし、変えていけるものは自分自身であり、相手(他者)を変えることは出来ません。自分が変わることによって相手との関係性も変わってくるのです。相手を変えようとするとそれは戦いになり、問題の解決どころか逆に問題をこじらせてしまうからです。ただし、ペアカウンセリングや家族カウンセリングのように、お互いがカウンセリングを受けてより良い関係になれるように問題に取り組みたいとのお考えがあれば、双方でカウンセリングを受けられることをお勧めします。カウンセリングはまずは自分の問題に取り組む必要があるのでお一人ずつ受けていただいて、必要な時にお二人で受けていたたくことをカウンセラーから提案することもあります。

もちろん相手が受ける意思が無くても、先に述べましたように自分自身が変わることで関係性は改善されていくので、お一人だけでもカウンセリングを受けられることをお勧めいたします。

●母子関係の問題は、連鎖する場合も多く見られます。

 子供が母子カプセルの関係で苦しむ経験をすると、自分が子供を産み育てる番になっても、ご自身との子供とまた母子カプセルの状態に陥ってしまう事が多く見られます。母子カプセルの関係が世代間で連鎖してしまうのです。ご自身の幸せはもとより、世代間連鎖を断つという意味においても、自分が母と子の関係で苦しみを感じていたのなら、今このタイミングでカウンセリングを受けてみることをお勧めいたします。カウンセリングを受ける決心がついていなくても、まずはお気軽にカウンセリングがどのようなものかも含めてお問合わせ・ご相談(無料)をウェッピーカウンセリングルーム日野宛までいただけたらと存じます。あなたの心が少しでも癒されることを願って。