“今の自分”にとって大切な関係を選び直す。

●アダルトチルドレンにとっての“家族との関係”とは?
アダルトチルドレン(以下AC)※として生きてきた方にとって、「家族との関係」は長い時間をかけて向き合う大きなテーマです。子ども時代に親から受けた心の傷の痛みから、距離を置きたい気持ちと、それでも愛情を求めてしまう気持ちが複雑に絡み合い、その揺れの中で「どう関わり直せばいいのか」迷い続ける方は少なくありません。
カウンセリングでは、「家族との新しい関係とは、過去をやり直すことではなく、今の自分にふさわしい形へ選び直していくこと」という視点を大切にしています。
アダルトチルドレンの概念を提唱したクラウディア・ブラックの考え方にも学びながら、過去を否定したり、無理に修復を目指したりするのではなく、現在の自分が安心していられる距離や関わり方を丁寧に選ぶことが回復のプロセスにおいて重要だと考えています。この視点は、家族との関係に揺れを感じている方が、自分を守りながら新しい一歩を踏み出すための支えとなるはずです。
※詳しくは→アダルトチルドレンとそのカウンセリング
●過去に得られなかった家族を取り戻す必要はありません。
子供時代に、「家族(主に両親)に気持ちに寄り添ってもらえなかった。関心を持ってもらえなかった。安心や愛情を与えてもらえなかった」などのように傷ついた体験があると、「いつか家族は変わってくれるのでは、私を振り向いてくれるのでは、愛してくれるのでは」などの期待を心のどこかに抱き続けることがあります。しかし、その視点でいる限り、悲しみは続くとも言えるのです。ここでは、あえて子供の頃に得られなかったもの(与えてもらえなかったもの)から視点を変えて、「今の自分」にとって安心していられる関わり方を選ぶことがACからの回復にとって大切なのです。過去に得られなかった家族を取り戻す必要はないのです。
●バウンダリー(境界線)を引くことは、自分を尊重するための行為です。
家族との新しい関係を築くうえで欠かせないのが、境界線(バウンダリー)です。
境界線とは、
●自分と相手の責任を分ける。
●相手の感情や問題を抱え込まない。
●自分の限界を大切にする。
といった、心の中の“線引き”のことです。
機能不全家庭で育った方は、子どもの頃から家族の問題を背負い、「良い子」「聞き役」「調整役」として生きてきたため、境界線が曖昧になりやすい傾向があります。境界線を引くことは、家族を拒絶することではありません。むしろ、自分を守り、関係を健全に保つための丁寧な姿勢なのです。
●家族の反応はあなたの責任ではありません。
境界線を引くと、家族が戸惑ったり、怒りを示したり、罪悪感を刺激するような言葉を向けてくることがあります。あるいは、媚びるようにすり寄ってくることもあるかもしれません。なぜなら、家族はあなたに代わって欲しくないのです。今までの関係が家族にとっては都合がよいのですから、何とかコントロールして元の関係に戻そうとするかもしれないのです。
これは、両親や兄弟などの原家族以外にも生じる現象です。パートナーがモラハラ気質のタイプだったりすると、あなたが境界を健全なものにしようとすると、何とか元の関係に引き戻すようにあの手この手を使ってくるかもしれません。
ここで大切なのは、「家族の反応は自分の責任ではない」ということです。
あなたができるのは、 自分の回復にとって必要な選択を静かに続けること。相手がどう受け取るかは、相手の課題であり、あなたが背負う必要はありません。
●距離を置くという選択も、健全な関係の一つです。
家族との関係を再構築することは、必ずしも「仲良くなる」ことを意味しません。
ときには、
●関わると心が消耗する。
●過去の役割に引き戻される。
●境界線が尊重されない。
●安心・安全が脅かされる。
というようなことも起こりえます。こうした状況がある場合、距離を置くことが必要になることもあります。
距離を置くことは逃避ではなく、自分の人生を守るための穏やかな選択だと言えます。距離を置くことで、もし罪悪感などを感じるようでしたら、それはACとしての心の傷がうずいているのかもしれません。そのことに気づくだけでも、受け止めが違ってくるのではないでしょうか。
●もし、家族に自分の痛みを伝えたいなら。
ACからの回復の過程をたどる中で、自尊感情が蘇ってきたり、傷ついた自分の心に気づいていくと、その思いを家族にぶつけたい気持ちが生じて強くなることがあります。それはある意味、自然なことなのですが衝動の勢いのままにそのような行動に出ると、さらに傷つくことが考えられます。もし、そのような思いが生じた時は以下の事を意識して書き出してみると良いでしょう。
●自分が言いたいことは何か?
●なぜ、その人に言いたいのか?(両親、兄弟など関係性によって変わってくるでしょう)
●伝えることで期待していることは何か?
●その期待は現実的か?
自分の思いを伝えることが悪いということではなく、準備が必要ということなのです。期待が裏切られる可能性もありますが、それは一つの関係を終わらせ、家族への囚われから解放されるプロセスでもあります。
●小さな変化が、関係の質をゆっくりと変えていきます。
家族との関係は、一度に大きく変える必要はありません。むしろ、「小さな変化」の積み重ねをお勧めします。
たとえば、
●できないことは「できません」と伝える。
●電話や連絡の頻度を調整する。
●会う時間を短くする。
●自分の気持ちを丁寧に言葉にする。
こうした小さな行動が、長い時間をかけて関係の質を変えていきます。
●内側の変化が、外側の関係を自然に変えていきます。
家族との新しい関係を築くためには、外側の行動だけでなく、自分の内側を整える作業も欠かせません。
●自分の感情を否定せずに受け止める。
●子ども時代に背負った役割を手放す。
●自分のニーズを大切にする。
●「家族だから」という思い込みを見直す。
こうした内的な変化が進むほど、家族との関係も自然に変わっていきます。
●家族との関係は、あなたが選び直してよいのです。
家族との関係は、あなたが選び直してよいものです。過去に縛られ続ける必要はありません。あなたの回復を最優先にしてよいのです。そして、あながが安心して生きられる距離と関わり方を選ぶことが、“新しい家族関係”の始まりになります。
●ウェッピーカウンセリングルーム日野・東京でのカウンセリングの取り組み。
ここまで述べてきた内容を実際に進めていくには、これまでの家族との関係を一つひとつ丁寧に振り返る作業が必要です。行動を変えていくには勇気も伴い、その過程でACとしての傷が再び痛むこともあります。しかし、その痛みを改めて感じることは、家族への囚われから自分を解放するために必要なプロセスでもあります。
当カウンセリングルームのカウンセラーもまた、ACとしての生きづらさを経験し、それを乗り越えてきた者です。その経験をもとに、悩まれている方の痛みに寄り添いながら、その方に適した心理療法を丁寧に提供し、無理のないペースで回復の道を共に歩んでいます。生きづらさを感じている方、カウンセリングに関心をお持ちの方は、どうかお気軽にご連絡ください。 あなたの心が少しずつ癒されていきますように。
※詳しくは→心理療法のご紹介
