アダルトチルドレンの囚われから自由になるために:カウンセリングで取り組む4つのステップ。

過去・現在・そして新しい未来へとつなげていく。

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ACからの回復のための4つのステップ

●アダルトチルドレン(AC)という苦しみ。

 アダルトチルドレン(以下ACと称す)は、病名でも障害名でもありません。でもその痛みや苦しみは、病気や障害と言って十分すぎるほどに強く、そして激しいものなのです。

 子供時代に親や兄弟・姉妹から受けた心の傷、それが大人になった今でも強い痛みを発しているのです。しかし、痛みが常態化してしまっているので痛んでいることにすら気づかないことも多い。それが、過去に傷を受けた時のことを再現するような状況や人、言葉と出会った時に瞬時に耐えられないような痛みが再現されて、恐怖、不安、そして怒りなどとなって現れるのです。それが人間関係のつまづきとなり、生きることそのものが苦痛にまみれていくのです。

●ACに回復はあるのか?

 そのように根が深く、激しい痛みを伴うACという障壁に回復の道は存在するのでしょうか?まずお伝えしたいことは回復の道は存在するということです。しかし、正直に言ってその道は生半可なものではない。なぜならば、幼少期にかけて植え付けられた傷は、心身の奥深くに存在し、それは本能レベルに組み込まれているからです。それに加えて、ACからの回復のためには、その傷と向き合わなくてはなりません。そのためには、過去を振り返らなくてはならないからです。過去を振り返るという事は、辛くて蓋をしてきた、あるいは蓋をしたいと思うような出来事を思い出し、その痛みを感じるという事です。それは時には、忘れていた傷をえぐり出すような激しい痛みを伴う作業となります。

 逆に言うとあなたはその位、過酷で辛い環境の中を何年、何十年と生き抜いてきたのです。今、生きていること、そのこと自体が奇跡と言えるくらい素晴らしいことであり、あなたが持っている力なのです。その力が本来持つ健康な考え方、感情への目覚めこそがACの回復なのです。例え辛くても根気よくあきらめずに、そして丁寧にその力が目覚めるための作業に取り組むことで必ずや希望の光は見えてきます。そのためにカウンセラーは常にあなたの心に寄り添い、回復のための道を一緒に歩んでいきます。時としてその痛みを分け合うように。そして多くの方がACの苦しみから解放されていく姿を目にしてきたのです。

●ACからの回復のための4つのステップ。

 回復に近道はありません。はっきり言って年単位で考えていただきたいと思います。その位にACの心の傷は深いと言えるのです。遠回りに感じる道が実は一番の近道なのです。アダルトチルドレンの概念を提唱したクラウディア・ブラックは、回復のための4つのステップの概念もまた提唱しました。。そのステップを丁寧に一つずつ踏んでいくことが、着実に回復の道を歩んでいる証となるのです。以下にそのステップを示し、それぞれ解説をしていきたいと思います。

ステップ1:過去に失ったものを探し求める。

ステップ2:現在に影響している過去を探る。

ステップ3:自分を苦しめているスキーマ(信念)に取り組む。

ステップ4:新しい生き方を身につけていく。

●ステップ1:過去に失ったものを探し求める。

 過去、それは幼少期から子供時代にかけての親との関係を指します。そこに兄弟や姉妹が加わってくることもあります。基本は親との関係にありますが、兄弟・姉妹は親との問題をさらに強く激しくするだけの影響力があります。ですから、ここで言う過去に失ったものとは子供時代に家族の中で喪失したものなのです。では、何を喪失したのでしょう?それを知るためには、健全な家族関係であれば、獲得できるものは何かをイメージしてみるとヒントになるでしょう。

 健全な家族関係で育った場合に子供が得られるもの、それは自尊心であり、信頼であり、安心です。それが、虐待的な親であったり、過保護や過干渉な親であったりするとそれらを得ることが出来ずに、喪失してしまうのです。そのような安定した人間関係を結ぶために必要なものが得られない代わりに、自己否定感、対人不信、対人恐怖、不安や恐れ、行き過ぎたプライドや依存心、無力感、そういった生きる上での苦しみとなってしまうものを獲得してしまうのです。

 他にも喪失してしまった大きなものがあります。それは感情です。感情そのものは無くなっていなくとも、それを感じる力や適切に感情を表現する術を失っているのです。威圧的な親や兄弟、姉妹関係の中で育つと、感情を殺して自分を守るようになります。また、感情を出せたとしてもそれが相手の怒りを更に買い、激しく責められるなどの経験をすると感情を出すこと自体を抑圧することを学んでしまうのです。それは健全な人間関係を結ぶのにとても大きな障壁、ハンデとなるのです。そして、残念なことに過去は変えられないのです。本来生きる上でとても大切なものを親から受け取る機会はもう無い、喪失したことを認めなくてはならないのです。

 なぜ、このような絶望にも感じることを探し求めなくてはならないのか?自分が今生きずらい原因を突き止めると共に、喪失したことを認めることで、過去を過去として捉えることができるようになっていくためです。過去が未だに過去になっていないから、痛みもそれだけ大きく強いのです。

 では、どのようにして過去に失ったものを探し求めていけばよいのでしょうか?それは語ることです。過去を振り返り、思い出して、辛かったこと、悲しかったこと、腹が立ったこと、怖かったことを話し続けるのです。話すには聞く人間が必要です。それも決して意見したり、否定じみたことを言わない人間が。「もう終わったことだからいつまでも過去に引きずられないで、今をより良く生きましょう」などと言われると、たとえそれが善意からであったとしても、ACにとっては否定、突き放されたように感じます。悲しみ、落胆、怒り、恥ずかしさや惨めさを感じることになりかねません。話す相手として一番適しているのはACからの回復のための専門的知識と経験を兼ね備えたカウンセラーです。ACの方を無条件で受容する姿勢を一貫して崩さないカウンセラーに暗いベールに覆われた過去を話し、対話し、時には書き出すことで、喪失したものが見えてきてそれを受け入れ始めるようになっていくのです、もちろん、喪失を受け容れるということは悲しみを伴う作業です。悲しみを感じた時は大いに涙を流すと良いのです。泣くことは決して恥ずかしい事ではありません。涙と共に悲しみは癒えていくのです。

 そして大切なことは、ステップ1がある程度踏めてきたらステップ2に進んでいくことです。いつまでも、ステップ1に踏みとどまっていると、過去への恨みが再燃し続けてさらに自分を苦しめて現在の人間関係に悪影響を与えてしまいかねないからです。

※関連ブログ:子供の頃に失った心の支えとは?:アダルトチルドレンの回復に向けた心理アプローチの解説。

●ステップ2:現在に影響している過去を探る。

 ステップ2では、まず今自分が抱えている問題、例えば夫婦・恋人・子供や職場・友人などの人間関係で苦しみとなっていることに焦点を当てます。カウンセリングを受けたいと思う要因でもあるので向き合いやすいテーマと言えます。それと同時にその苦しみに、ACとしての傷が影響しているかどうかを見ていくのです。ACとしての傷とは過去に受けた傷のことを指し示します。これはステップ1で苦しい作業を乗り越えてきたからこそ出来る取り組みなのです。

 以下に少しだけACとしての傷が与える人間関係への影響を挙げてみます。

・モラハラ的なパートナーと関係を結び、その関係から離れられない。離れたとしても同じことを繰り返してしまう。

・パートナーだけでなく、職場など人間関係全般においてモラハラ的な相手に取りつかれやすい。

・子供に怒りをぶつけてしまう。

・パートナーに見捨てられないかといつも不安で苦しい。その結果自分で関係を壊し、また同じことを繰り返してしまうことも。

・アルコールやギャンブル、または性的な刺激に対して依存傾向がある。(他、薬物・摂食・買い物などへの依存)

・権威的な人や声の大きな人などに恐怖を感じて、媚びてしまうことも。

・LINEの返信などがすぐに来ないと、嫌われたのではと恐怖に襲われる。

・人から責められることが怖くて完璧に行おうとしていつも焦ったりイライラしている。

 いかがでしょう?ここに挙げたのは代表的な例で、この他にもその人が受けた傷によって様々な苦しみがもたらされています。ACとしての傷がどの位、今の自分を苦しめているかへの気づきも、ACからの回復のためにはとても重要なステップなのです。そして、実際に今の苦しい場面と子供時代に苦しかった場面がリンクしていくことで見えてくるものがあるのです。それは自分を苦しめているスキーマ(信念)です。次のステップではそのマイナスとも呼べるスキーマに対して取り組んでいきます。

●ステップ3:自分を苦しめているスキーマ(信念)に取り組む。

 ステップ2で見えてきたスキーマとは何のことでしょう?それは、子供時代に親から受けて続けてきた強烈なメッセージです。例えば、男なんだからもっとしっかりしろ!口答えするな!お前は何でいつもこうなんだ!お姉さんを見て見ろ!あなたにはこれは向かない、これをやりなさい!等々、自分らしさを否定されたり、時には無視されたり、必要な時に助けてくれなかったり、兄弟たちと比べられたり、このような仕打ちを受け続けているうちに生きることへの障壁となる信念を抱くようになります。その信念を早期不適応スキーマと呼びます。以下に早期不適応スキーマの例を挙げます。

・人は私を騙そうとしている、信じるな。

・私は存在に値する価値が無い。(いてはいけない存在)

・私は愛されない存在だ。

・人は必ず私を見捨てて離れていく。

・絶対に失敗は許されない。

・努力し続けないといけない。

・人は私を責めようと常に狙っている。

・自分のやりたいことを行ったり言ったりするのは恥ずかしいことだ。

いかがでしょう?ACの傾向のある方は当てはまる部分も多いのではないでしょうか。

そしてこのスキーマの厄介なところは頭ではこの考えが自分を苦しめていると分かっていても、手放すのが難しいところにあるのです。なにせその信念は幼少期の頃から、一番安全であるはずの家庭のなかで繰り返し植え付けられ続けたのですから。それは複雑性PTSDと言っても過言ではありません。トラウマ症状なのです。トラウマは脳神経だけでなく身体の神経の隅々にまで染みわたっています。身体が反応してそのようなスキーマが瞬時にして沸き起こるのです。

 カウンセリングではそのような根の深いスキーマに対してどのように取り組んでいくのでしょうか?それにはやはり、年月と労力を要します。しかし、あきらめずにスキーマに対する心理療法を受け続けることで必ず改善していきます。弁証法的行動療法交流分析スキーマ療法など、負のスキーマを健康的なスキーマへと変えていくための心理療法がここにあります。健康的なスキーマの例をいくつか挙げてみます。

・私の存在そのものに価値がある。

・誰とも比べる必要が無い、私はここにいていい!

・全ての人に愛される必要はない、それでも愛してくれている人はいる。

・信じるに値する人もいる。

・私は完璧である必要はない、失敗したからといって排除はされない。

・自分を大切にするのは良いことだ、自分のやりたいことをやってもいいし、要求するのだってOK!

この新しいスキーマに基づいた考えや行動をカウンセラーと一緒に考えて、勇気を出して行動に移していくことで、徐々にではあっても必ずや負のスキーマから解放されていくことでしょう。

 そして、もう一つ大切なことは過去に受け取ってきたスキーマの中には、今を生きるために役に立っているスキーマもあることへの発見です。努力すること自体は悪い事ではないし、謙虚さは徳です。こうでなければならないとの行き過ぎた強い信念こそが実は自分を苦しめていたことに気づいていくのではないでしょうか。何も全く新しいスキーマに変える必要はありません。スキーマを緩めるだけでもとても生きやすくなっていくことでしょう。そう、どのスキーマを選択するか、その権利はあなた自身にあるのです。

●ステップ4:新しい生き方を身につけていく。

 ステップ4では、ステップ3で気づいた新しい生き方の実践が求められます。例えば、「自分には価値が無い、要求することは悪いことだ」、などのスキーマから身につけてきたスキルとして、「人に頼らずに無理をしてでも全て自分でやる、相手の要求には無理をしてでも答える」、などが挙げられます。これに代る新しい生き方として皆さんは何をイメージしますか?「全てを自分でやる必要はない、頼れるところは頼ってもかまわない。その代わり自分も頼られたら、出来る範囲で応えてあげよう」、などが挙げられるのではないでしょうか。

 ACの方は生き方のスキルを身につけていないわけではないのです。むしろ、子供の時から身につけてきた、いや付けざるをえなかったといえるのではないでしょうか。それは相手の顔色を読み取ってご機嫌を伺うとか、相手の話に無為に同調するとか。一見、誰とでも併せられるように見えるので、問題のある社員のいる職場に回されることもあるくらいです。でも実は、心の中でものすごい葛藤を繰り返しているのです。それを悟られないようにして。

 新しいスキルを身につけていくことはとても勇気のいることです。なぜって、それまでしてこなかったことをしていくのですから。自分の要求を伝える。断る。そして信頼する。それは時として恐怖を呼び起こすことになるかもしれません。でも、一人で取り組む必要はありません。カウンセラーと一緒に相談しながら取り組んでいけばよいのです。出来なくても自分をダメだと思う必要は全くありません。取り組んでいること自体が称賛に値する事なのですから。

 中には早くこのステップ4に取り組みたいと思う方もいるでしょう。なぜって一刻も早く苦しい生き方から逃れたたいから。その気持ちは痛いほどわかります。なぜならこのブログを書いているカウンセラー自身もACの苦しみを嫌と言うほど味わってきた人間なのですから。だからこそ言えます。ステップ4を踏むためには最初の3つのステップが必要なのです。ACの方がアサーション・スキルだけに取り組んでもうまくいかないのはなぜでしょう?それはACとしての心の傷の痛み、感情の痛みがとても強く激しいものだからなのです。丁寧に最初の3つのステップを順番に踏んでいくことでステップ4が生きてくるのです。

 ステップ4は「今、そして未来」が変わっていくステップです。ACとしての運命を変えていくことのできるステップなのです。

●4つのステップは時に行きつ戻りつを繰り返す。

 ここまでに挙げた4つのステップは基本的には一つずつ踏んでいきますが、全てを完璧にこなそうとするのもまた無理があります。しかるべきタイミングで次のステップに移ったとしても、時としてまた前のステップに戻ることはあります。2つのステップを組み合わせて行うこともあります。それは各ステップ共に感情が伴うステップだからです。それまで思い出すことのなかった出来事が思い出されることがあります。それがかなり核心に触れるような大きな出来事であったりするのです。人間の脳は自分を守るためにあまりにも辛かった体験は記憶の奥に鎮めようとする働きがあるのかもしれません。

 揺らぎながら回復の道を歩んでいく、それが人として自然なことなのです。それもまた、回復のために必要なことなのです。そして、気が付いたら今までの生きづらさの囚われから解放されていた、人間関係が楽に感じられるようになってきた、今までの苦しい関係を繰り返さなくなっていた、という方が数多くいらっしゃるのです。  

●共にACからの回復の道を歩んでいきましょう。

 ウェッピーカウンセリングルーム日野・東京では、ACの苦しみ、人間関係全般の苦しみに向けて効果が認められている専門的心理療法に基づいたカウンセリングをご提供しています。ACの問題は一人で専門書などやYouTube動画などを見て解決を試みてもそれは逆に危険でもあるのです。一人で過去の傷を掘り起こして向き合うことはあまりに苦しい作業であり、恨みつらみ、怒りが再燃されて今の人間関係をより悪化させたり、自己憐憫(自分を憐れむ)に陥ることにもなり兼ねないからです。

 ACの方は頑張り屋さんがとても多く、疲弊していることに気づいていない方も多いのです。自分の苦しみや生きづらさもACが影響しているのでは?と思われた方や、人間関係で生きづらさや苦しみを抱えている方がいらっしゃいましたら、お一人で頑張らずに是非とも当カウンセリングルームまでお問合わせ・ご相談いただけたらと思います。あなたが苦しみから解放され、自分らしく自由な道を歩いていくための一助になることができましたら幸いです。