カウンセリングの効果をより上げるためにー記憶を強化させる方法とは?

その意味や目的まで含めて記憶する。

記憶の定着イメージ

●記憶するときは、その言葉の成す意味まで考える。

 例えば、カウンセリングでマインドフルネス療法を行ったとします。そして、日常生活の中でもでもセルフワークとして行っていくといいですよ、と説明を受けたとします。しかし、日常に戻ればマインドフルネスの事を思い出すこともなかなか無いのではないでしょうか?例え思い出したとしても、実行に移すまでには至らないとか。

 そこで大切なのは、なぜマインドフルネスを日常で行うと良いのか?ということに思いを馳せることです。マインドフルネスは呼吸を意識することで、副交感神経が働いてリラックス出来る効果があります。また、色々な思考が沸き起こったり、焦ったりして目の前の事が手につかないような状態の時に、五感を意識することで余計な思考が和らぐ効果もあります。また、ありのままを受容することで、相手への怒りや自分への罪悪感、嫌悪感が和らぐ効果もあります。この全てを覚える必要はありませんが、このようにマインドフルネスの効果まで含めて覚えると記憶が定着しやすく、それを実践して効果を実感することでさらに記憶は強化されていくのです。

 これはマインドフルネス療法だけでなく、弁証法的行動療法(DBT)認知行動療法(CBT)のワークに関しても言えることです。書き出すことで客観視出来たり、相手を通して自分の側の問題を見ることで相手へ怒りが生じたとしてもそれが和らいだり、時には手放したりすることも可能となります。このように意味や目的・効果まで含めて記憶し、日常でさらにその効果を実感できると、このワークを行う事が習慣化していって、活用することが負担にならなくなってくるのです。

●初めと終わりの言葉が記憶に残りやすい。

 また、心理学者のアトキンソンという方が記憶に関する実験をした結果、一つの会話やスピーチの中で最初に聞いた単語と最後に聞いた単語が記憶に残りやすいといことがわかってきました。この現象を「系列位置曲線」と称します。長い時間、相手に理解してもらおうと説明しても、真ん中あたりの記憶は残りにくいということでもあるのです。カウンセリングでは最初に前回の振り返りなどを通して、あらためて気になっているポイントを確認し、カウンセリングの終わりの頃にその日の気づきのポイントを改めて再確認することで、カウンセリングの効果が上がるように配慮がなされています。

●強い印象と共に記憶に残る「フラッシュバルブ記憶」。

 上記に挙げた他にも、強く記憶に残る現象として「フラッシュバルブ記憶」があります。これは印象的な出来事を体験すると記憶しようと心がけなくても記憶に刻み込まれるということです。映画で感動的な場面に出くわしたり、コンサートで高揚したり、印象的な風景と出会ったり、大切な人との出会いや別れなどもこれに値するかもしれません。

 カウンセリングを受けていく中でも、感情が身体の中から湧き上がって涙が出ることも決して珍しいことではありません。ある意味、それだけカウンセリングが効いているということでもあるのです。特にフォーカシング療法のように、自分の内面深くにアプローチしていく心理療法を行っている場面ではよく見られる事です。このような場面での気づきは意識しなくとも記憶に残りやすくなるのではないでしょうか。

●カウンセリングの気づきを日常で活用するために。

 他のブログでも取り扱った「記憶のメカニズム」と併せてここに挙げたポイントを組み合わせることで、より記憶は強化されていきます。記憶が強化されるという事はそれだけカウンセリングの効果も上がってくるという事につながります。。せっかくのご自身の努力を実らせるためにも、記憶に対する意識を少しだけでも大切に感じていただけましたら幸いです。もちろんカウンセラーもそのことを意識するように努めてまいります。

 生きづらさを感じていたり、カウンセリングに関心を持たれましたらいつでもお気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野・東京までご連絡ください。あなたが抱えている問題の解決に向けて、一緒に取り組ませていただけましたら幸いです。

 あなたの心が癒されますように。