心を整える―日常生活の中で使えるマインドフルネスとは?

食べる、歩く、全てマインドフルネスのチャンスです。

●心を整えるとは?

 皆さんは「心を整える」と言う言葉からどのようなイメージを持たれるでしょうか?最近ではサウナなどでデトックスする事を「整える」というような表現をされる方も多いかと思います。「浄化」というようなイメージでしょうか。ここでは、余計な妄想を頭から取り除くようなイメージをしていただけたらと思いますがいかがでしょうか。

●余計な妄想とは?

 余計な妄想と言うと聞こえはあまりよくありませんが、今この場に関係の無い事(人物、過去・未来のことなど)に頭の中が囚われている状態と考えていただけたらと思います。

 やらなくてはならないことがなかなか手につかなかったり、作業に集中出来なかったり、その場でやらなくてはならない事に加えて、その場と関係の無い事も考えているので頭の中はなかなか忙しい状態にあります。人間の身体の中で脳が最もカロリーを消費すると言われているので、自分でも気づかぬうちにかなりの疲労が蓄積されていることになります。身体の疲労であれば睡眠することで改善されるのですが、心の疲労は睡眠にも悪影響を及ぼして熟睡することが出来ないのです。そうして疲労は気づかない間に蓄積されていくのです。

●マインドフルネスが有効な理由。

 マインドフルネス療法は、このような妄想の囚われを取り除くのに有効な心理療法です。マインドフルネスの定義は「ありのままの受容」であり、さらに言うなら「今、ここ」を大切にする、という事です。逆に言うと、「今、この場でない事」から解放されている状態とも言えます。そのためのワークがマインドフルネス療法であるとも言えるのです。

●日常生活で行えるマインドフルネス。

 マインドフルネスと言うと瞑想のように静かな環境の中で、目を閉じて呼吸や自分の内面に意識を向けるのをイメージされる方も多いのではないでしょうか?それは確かに間違いではありませんが、マインドフルネス自体は様々な取り組み方があり、日常生活の中でもと入りれることが比較的容易な心理療法でもあるのです。以下にいくつかご紹介をいたします。

①呼吸のマインドフルネス

 場所や場面にこだわらずに行えるマインドフルネスで、呼吸法はマインドフルネスの基本でもあります。ゆっくり息を吸ってゆっくり吐く。吸う時は鼻から、吐く時は鼻からでも口からでもどちらでもかまいません。その呼吸をしている身体の感覚(鼻腔・口腔・喉・器官・肺やお腹など)を感じるようにします。心が落ち着く作用(副交感神経)はどちらかと言うと息を吐く時の方が大きいと言われています。何か作業などに取り組んでいる時にも行えるマインドフルネスです。

②食事のマインドフルネス

 食べている時の食感に意識を向けます。味・噛んでいる感覚・喉越し、これらをあえてゆっくり味わうことに意識を向けてみます。時おり箸を置いて目を閉じてみるとさらに食感が際立ってくることでしょう。食事を楽しむという事にもつながっていくのではないでしょうか。

③歩くマインドフルネス

 地面とつながっている足裏の感覚に意識を向けるマインドフルネスです。一歩一歩地面を踏みしめるように歩くと良いでしょう。歩くのにもリズムがある事に気づくかもしれません。姿勢を正して前を向いて歩きましょう。このマインドフルネスは屋外だけでなく室内を歩いている時でも出来ます。頭の中がクリアになっていくのではないでしょうか。

④筋肉に意識を向けるマインドフルネス(ストレッチ)

 胸をはってみたり、つま先立ちで伸びをしてみたり、首を回してみたりと筋肉を伸ばす感覚に意識を向けるマインドフルネスです。頭の中が色々な考えに囚われてストレスを受けていると、筋肉は緊張して硬くなります。筋肉を伸ばしほぐすことで緊張から解放されます。心と身体はつながっていますので筋肉が気持ちよさを感じると、頭の中もスッキリしてくるのではないでしょうか。ただしこのマインドフルネスを行う時は、無理をして体を痛めないように注意してください。ゆとりを持った力加減を意識してみましょう。

●ポイントは、雑念が生じても自分を責めない事。

 人間の脳は、考えないようにしても色々な考えが浮かぶものです。それはマインドフルネスにおいても同様です。座禅などは無になることを意識するのかもしれませんが、マインドフルネスの目的は無になる事ではありません。ありのままの自分を受け止め、今、ここに意識を向ける事にあります。ですので、雑念が生じている事に気づいたら、また意識を今行っているマインドフルネスに戻せばいいだけの事なのです。歩くことに集中しなければ、などの~せねば状態になるとさらにストレスを受けてしまう事にもなり兼ねません。少しでも意識をマインドフルネスに向けられたらOK、くらいの気持ちで行ってみてください。

●心が整っている状態を記憶する。

 ここでいう記憶は、理性で記憶するという意味ではありません。身体が記憶するという感覚です。マインドフルネスを行ってみて心が整った(妄想から解放された)状態を日々少しづつでも体験していく事で、その感覚を身体が記憶していく事でしょう。すると特に意識してなくても、以前よりもメンタル的に良い状態が増えていくのではないでしょうか。大切なのは少しだけでも良いのでホームワークとして継続していく事です。

 このようにマインドフルネスは実践的に活用できる心理療法なのです。カウンセリングでは、身体に働きかけるマインドフルネスだけではなく、思考や感情に働きかけるマインドフルネスなど多彩な心理療法を体験することが出来ます。その中で自分に合った方法を発見していくのも一つの手段です。

 マインドフルネス療法やカウンセリングに関心を抱かれましたら、ぜひお気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野・東京までお問い合わせいただけたらと存じます。あなたの心が癒されることを願って。