カウンセリングでの気づきを定着させるには?-ポイントは記憶のメカニズムにあります。

リハーサルを繰り返すことで、記憶は定着する。

記憶のメカニズム

●カウンセリングで気づいたことが生活に活かせていない感じがする。それはなぜ?

 原因として考えられることの一つに、気づいたことが記憶として定着していない可能性が挙げられます。記憶は定着して初めて必要な時に引き出しから取り出して使えるようになります。それでは、なぜ定着していないのでしょうか?

●記憶のメカニズムとは。

 人間の記憶のメカニズムについては、学習心理学の分野で数多くの研究がなされてきました。そのメカニズムを知ることは、カウンセリングだけでなく日常生活においても活かすことができます。

 記憶のメカニズムは次の三つの過程から成り立っていると考えます。①記銘(コード化)②保持(保存)③再生(検索)。次のこの過程を一つずつ解説していきたいと思います。

●記憶の記銘(コード化)とは?

 「記銘(コード化)」は記憶の過程の一番初めの段階です。人間は外界より刺激を受けて、その刺激が神経系や感覚器官によって処理され、記憶としてキャッチするものとそうでないものに仕分けられます。キャッチされることで記銘(コード化)が成されます。その仕分けのポイントとして、刺激の強さ、重要度、関心の度合いなどが挙げられます。

 例えばカウンセリングのケースだと、「そうだったのか!」など気づきの度合いの大きさや、取り組んでいる心理療法への興味の度合いなども仕分けのポイントとなるでしょう。ある意味、苦しい時ほどその気づきの衝撃は大きいのではないかと想像します。苦しい時ほど、気づいたことが記銘(コード化)されるチャンスとも言えるのです。

●記憶の保持(保存)に関して、キーワードはリハーサル。

 記銘(コード化)に成功したら、次はそれを保持(保存)する段階です。この保持が一つのポイントとなります。保持されないと、せっかく記銘された記憶が忘れ去られてしまうことになるからです。そして、せっかく保持されたとしても、それが短期的なもの(短期記憶)では一時的な活用しか出来ません。大切なのは長期記憶として保持されること。そのために必要なのがリハーサルです。そのリハーサルをくり返し行うことで長期記憶として保持されていくのです。

 例えば、カウンセリングでしたら認知行動療法(CBT)弁証的行動療法(DBT)を丁寧に根気よく、繰り返し行うことでカウンセリングで得たものが短期記憶から長期記憶へと移行して保持されていくのです。

●記憶を検索し、そして再生する。

 記憶のメカニズムの最終段階として、保持された記憶の再生を行います。記憶したことを実際の生活の場面で活用していく段階です。カウンセリングでは認知行動療法(CBT)弁証的行動療法(DBT)で気づいたことを生活の場面で行動に移していく事などを指します。また、マインドフルネス療法などのストレスコーピングを日常的に行っていくことも再生にあたります。しかし、緊張している時や動揺している時などはとっさに思い出して(検索する)、実行することは難しいでしょう。そこで大切なことは、その様な状態になっても自分を責めずに、根気よく繰り返しチャレンジしていくことです。この再生の段階をくり返し体験することが、記憶を定着させるカギと言っても良いでしょう。

●記憶にとって大切なのは継続すること。

 ここまでに紹介した記憶のメカニズムの①記銘(コード化)②保持(保存)③再生(検索)をくり返し行っていく事で記憶は長期記憶となり、生活場面で必要に応じて検索、再生されて活用していく事ができるようになるでしょう。それが定着すると意識せずとも自然に行動出来るようになっていきます。

 カウンセリングでも重要なの定期的に継続して受けていただくことです。前回に記憶したカウンセリング内容を忘れないタイミングで、積み重ねて受けていただくことで記憶は強化されていきます。ホームワークとして、実際の場面で活用できたことなどをメモして次のカウンセリングの時にそれをカウンセラーと話し合うこともとても有意義なことです。

 ここまでお読みいただいて、いかがでしたでしょうか、カウンセリングの効果を得るために大切なものとして「記憶」の重要さをご理解していただけたのではないでしょうか。

 また、カウンセリングに関するご質問や、受けてみたいと少しでも感じられましたら、お気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野・東京宛までお問合わせいただけたらと存じます。

 あなたの心が少しでも癒されることを願って。