認知行動療法だけでは、なかなか苦しさが取れない方へ。フォーカシングという心理療法をご紹介します。

 認知行動療法(CBTはとても有効な心理療法です。アダルトチルドレンの方や複雑性PTSDなどトラウマを抱えた方、発達障害の傾向のある方、強迫症や不安症、うつ症状の方など幅広い症状の苦しみに対して効果を発揮します。CBTは、自分を苦しめている思考・行動パターンに気づき、それに代わるものを探ることによって苦しみからの脱却を図ります。

 しかし、それだけでは今までの思考を手放せない、感情の苦しみが癒せないという方もいらっしゃいます。ある程度までは苦しみが軽くなったとしても、そこから先になかなか進めないという方達です。そのような方達に共通しているのは、とても深いところに心の傷が根付いているということです。いわばその深いところに焦点を当てるのがフォーカシング療法であるとも言えます。深いところに存在している傷に自ら語り掛け、寄り添っていきます。頭で考えるのではなく身体で感じていきます。CBTと併せて行っていく事でさらに効果は発揮されます。CBTはやっているけど、なかなか苦しみが改善されないという方がいらっしゃいましたら、ぜひご一読いただけたらと思います。あなたの心が少しでも癒されますように。

 

●考えるのではなく、自分の身体の内面の声に耳を傾ける「フォーカシング」とは?

 

フォーカシングは、アメリカの哲学者であり心理学者でもあるユージン・ジェンドリンによって開発された自分への理解を深めるための技法であり現在では心理療法の場においても活用されています。頭で論理的に心理分析を図るのではなく、自己の内面に尋ね、その声に耳を傾けるプログラムです。頭では自分の問題を理解出来ていても、なかなかその問題を消化することが出来ないタイプの人に向いています。また、フォーカシングは無意識の領域に近い部分に働きかけるのでより深いところでの感情の昇華に役立つともいえるので、感情面が傷ついている人にも効果はあるでしょう。ただし、トラウマなどの強い恐怖体験や悲しい体験をされている方は、最初は一人で行うと色々な感情が沸き上がって不調をきたす場合も想定されるので最初はカウンセラーと相談しながら、カウンセリングの場で体験を重ねていく事をおすすめいたします。

 

●フォーカシングの進め方。

 

 カウンセラーの声掛けの元に行っていきます。今自分が抱えている問題を思い起こしてください。思い起こしたら自分の身体の感覚に焦点を当てていきます。いつもより、重く感じるようなところはないか、締め付けられる感じはしないか等々、普段の状態と違うところはないか、身体の内部にも焦点を当てていきます。その身体的感覚をフェルトセンスと呼びます。

 フェルトセンスが見つかったら、「こんにちは」と挨拶をしてみましょう。そのフェルトセンスはどのような形をしていますか?物体の様な感じですか、人の様な感じですか?もし、フェルトセンスに名前を付けるならどのような名前がピッタリくるでしょう。フェルトセンスに語り掛けながらピッタリくるものを探しましょう。フェルトセンスは何か話したそうにしていませんか?もしその声が聞こえたら、その言葉に寄り添ってみてください。声が聞こえなかったら、無理に声を聴こうとせずに、ただフェルトセントと一緒に寄り添うように過ごしてみましょう。

 フェルトセンスが見つからなくても無理に見つけようとしないで、見つからないままフォーカシングを終えてもかまいません。ただ、何度かフォーカシングを行っただけであきらめるのではなく、マインドフルネスの一環として続けてみてもよいかもしれません。まずは、身体の感覚に意識を向けるところから始めていきましょう。

 

●フェルトセンスの声が聞こえたら。

 

 フェルトセンスの声を聞くことが出来たなら、それはどのような声でしょうか?もし、「苦しい」、「悲しい」、「恐い」、等の声が聞こえたら、しばらくその言葉をかみしめてみましょう。そしてその言葉がピッタリとフェルトセンスに合うと感じたら、次に何が苦しいのか?何が悲しいのか?など尋ねてみましょう。答えが返ってこないからと言って無理に答えを求める必要はありません。答えが返ってこなかったらそこで終了してかまいません。終了するときに、フェルトセンスに「また来るね」と声をかけてみましょう。もし、答えが返ってきたら、今度はその言葉をゆっくりと噛み締めて味わってみましょう。

 

●声を聞いて苦しくなったら。

 

 フェルトセンスの声や言葉を聞いて苦しくなることがあるかもしれません。過去の苦しかった体験が思い出されるかもしれません。それがもし辛すぎるようでしたら、深呼吸をして、フォーカシングを終了しましょう。その時に、その苦しさを口から空気と一緒に「ふーっ」と吐き出すようなイメージを持つと良いでしょう。もし、その苦しみや痛みにしばらくの間、寄り添う事が出来そうであれば、ただその感じを身体の感覚と一緒に味わってみてください。胸が圧迫されそうな感覚など、その人なりの感覚があると思います。そして自分のタイミングでその感覚をそっといたわるように抱きしめてあげてください。その感覚が昇華されていくのではないでしょうか。そしてまたフェルトセンスに意識を戻してみましょう。ひょっとしたらフェルトセンスは消えていなくなっているかもしれませんね。

 

●フォーカシングの効果。

 

 何も感じられないとしてもあきらめずに根気よくフォーカシングを行い続けていくうちにフェルトセンスを感じ始めることが出来るかもしれません。やがてその声に耳を傾けることが出来るようになっていくのではないでしょうか。フォーカシングは無意識に近い部分の自分が抱いている心の傷や本当の気持ちに気づいていくプログラムです。だからと言ってその気持ちを自分で変えようとか、これじゃだめだなどと思う必要はありません。ただ気づいていけばよいのです。そして感じていけばよいのです。それを続けていくうちに不思議と気持ちが軽くなっているのに気づくことがあります。自尊感情が上がっている自分に気づくこともあります。そして、何か物事を決めなくてはならない時や、物事がうまくいかなくて焦りが生じている時などにもフォーカシングを意識していると、頭で考えようとせずに身体の感覚に物事をゆだねられるようになっていくでしょう。直感のようなものにゆだねられるようになると、強迫的な不安などからも解放されて、生きることがだいぶ楽に感じられるようになります。また、認知行動療法も併せて行う事で、さらに効果も上がっていきます。

 

●フォーカシングに関心を持たれたら。

 

  いかがでしょう?認知行動療法などだけでは、なかなか効果が感じられない方、生きづらさが軽くならない方がいらっしゃいましたら、フォーカシング療法も併せて行ってみることをお勧めします。この記事に関心を持たれた方がいらっしゃいましたら是非お気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野宛までお問合わせをいただけたらと思います。お問合わせ・ご相談は無料です。あなたの心が少しでも癒されることを願って。