依存症からの回復に向けたカウンセリング。

依存症のイメージイラスト

 依存症(アディクト)とはどのような症状を指すのでしょうか?一言で言うと、依存対象や行為無しには生きていけない状態を指します。その依存対象を手放さない限り、仕事や生活が破綻するような状態になっても、手放せない状態にまで症状は進行してしまいます。依存というよりは、もはやその対象に支配されているような状態です。依存対象には、アルコール、薬物、ギャンブル、過食嘔吐、自傷行為、性行為などが見られ、なかには万引きなどのクレプトマニア(窃盗症)の症状の方もいらっしゃいます。たとえ、依存行為が止んだとしても依存症問題の根底には本人も気づかない心の空洞や悲しみ、怒りなどが存在している場合が多く、その苦しみに耐えられずに、また依存対象に手を出してしまう(スリップする)可能性が大きいのも事実です。カウンセリングでは依存行為自体への取り組みも含めて、依存対象によって埋め続けざるを得なかった心の問題に取り組んでいくことを重視します。現在、依存症で苦しまれている方、まだ自分はそんなにひどくないと思われている方やご家族の方など、ぜひご一読いただければと思います。

 

●依存症の心の裏に潜むもの。

 依存症問題は、依存行為自体が収まれば生き方に問題が無くなるのかと聞かれれば、そうですとは答えられません。なぜならば、依存行為は元々抱えていた生きづらさを癒すため、もしくはその生きづらさを抱えながらでも、現実を生きていくために必要なものだったからです。ですから、たとえ一つの依存行為が収まったとしても、他の依存対象にスライドしてしまうことがとても多く見られます。例えばアルコールは止まっても、処方薬に依存してしまったり、異性に依存してしまったりと。では、どのような生きづらさが潜んでいるのでしょうか?依存症の陰には、アダルトチルドレン複雑性PTSDASDなどの発達障害、愛着の問題などが潜んでいて、人間関係がうまく構築できずに苦しんでいる方が多くいらっしゃるように見受けられます。

●依存症は2次障害とも捉えることが出来ます。

 上記で述べたように、元々存在していた生きづらさを1次障害とすると、その苦しみを抱えながら生き延びるために生じた依存症の問題は2次障害と呼べるものではないでしょうか。アルコール依存症を例にとると、最初は苦しみを癒すために利用していたお酒が、もはやそれなしには生きることが出来なくなる状態まで症状が進行していくと、元々持っていた苦しみの上にさらに依存症の苦しみがかぶさってくるので、心身共に相当のダメージを受けながら必死に生き延びている状態が続くことになります。しかし、それも限界になると精神科病棟への入院を余儀なくされるか、退院しても症状が再発(スリップ)して入退院を繰り返しながらさらに悪化していき、最悪な場合は死に至るケースも珍しくはありません。死といっても、アルコールの影響による内臓疾患などによるものよりも、それ以前に自殺によって自ら命を絶つケースの方が多いくらいです。

●では、依存症の苦しみに対してカウンセリングではどのように取り組んでいくのでしょうか?

 カウンセリングでは、依存行為は孤独感や不安、怒りなどのストレスが引き金になる場合が多く、ストレスへの対処法(ストレスコーピング)や予防などを話し合い、実践できるように取り組んでいきます。併せて、依存行為への欲求が高まった時に、安全基地となるような人・行動・環境や物、あるいはイメージなど、いざという時に活用出来るようにリストアップしておきます。しかし、それはあくまで依存行為への対処療法なので、先にも述べたように1次障害となっている心の障壁の問題の解決を図らない限りは常に再発(スリップ)の危険は潜んでいます。一見消えたかに見えた焚火が実は炭となって中心の方はまだ赤く燃えているような状態をイメージすると分かりやすいかもしれません。風が吹くとまた赤々と今度はさらに勢いよく燃え盛るようになります。しかし、依存行為が全く収まっていない状態で、心の奥底に存在する問題の解決を図ることは難しいものがあり、依存行為自体はあらゆる方策を活用して鎮めていく必要があります。それと並行して、認知行動療法交流分析マインドフルネス療法などを活用して、幼少期から現在に至るまでの心の問題に対して掘り下げ、癒していくことが非常に重要になってきます。幼いころから長きにわたって傷ついてきた心の問題に取り組むのですから、時間をかけて丁寧にこの問題と向き合っていくことが望まれます。

●ぜひ、お気軽にお問合わせください。

依存症問題はなかなか周囲の人の理解が得られなかったり、ご本人も受け容れたりすることが難しい病気です。しかし、あきらめずに取り組んでいくことが解決へとつながっていくのです。ご自身が、何かに囚われていたり、何かに対しての依存傾向が感じられたり、または今現在依存症で苦しまれていたり、そして身内の方で苦しんでいる人がいたりしたら、ぜひ一度お気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野宛までご連絡ください。お問合わせ・ご相談は無料となっています。あなたの心が少しでも癒されることを願って。