強い感情や衝動に襲われて自傷行為に走る。負のスパイラルから脱出するためのカウンセリングをご紹介します。

　複雑性PTSDのように長期に渡っていじめや虐待などを受けたり、アダルトチルドレンの方のように子供の頃からストレスを受け続けて育ったりした方の中には、圧倒的な感情や衝動に襲われて苦しんでいる方が多くいらっしゃいます。そして、その感情の苦しさから逃れようとして自分自身を傷つける行為に走る場合があります。リストカットやオーバードーズ（大量服薬）のように自傷行為を行う、アルコールや薬物に依存する、過食嘔吐を繰り返す、不特定多数の異性と性的関係を持つ、等々です。それはある意味、あまりに強いストレスから自分を守るための行動でもあるのです。しかし、一時はその行為から生じる刺激でストレスを回避できても、それは自分自身の自己肯定感（自尊心）を傷つける行為でもあり、繰り返していくうちにより強い刺激を求めてさらに自尊心を傷つけていくという負のスパイラルに陥って、最悪の場合は死に至る結末を迎えてしまうことにもなりかねません。ここでは、カウンセリングを通していかに解決していくかをお伝えしたいと思います。ぜひ一度ご一読いただいてより良く生きるためのヒントにしていただけたら幸いです。

 

●思考と感情と行動の関係。

 

皆様は、思考と感情と行動の関係性というものをご存知でしょうか？以下に一つの出来事を挙げて例を示します。

出来事（メールの返信が無い）→思考（見捨てられた）→感情（不安）→行動（リストカットをする）。このように見捨てられたという思考が強い不安を生じさせ、リストカットという行動に走るという関係です。しかし、同じ出来事でも以下のような思考の場合はどうでしょう。出来事（メールの返信が無い）→思考（忙しいのかな、そのうちに返ってくるだろう）→感情（平静）→行動（今やるべきことをやる）。このように、思考と感情と行動は結びついていて、思考次第で生じる結果は大きく変わってきます。

しかし、この思考は今までの人生経験やその人の特性により瞬間的に生じるものです。身体が何かに反応するのと同じようなものです。また、アダルトチルドレンの方や複雑性PTSDのように心に傷を抱えた方は、思考よりもまず感情が先に表出する場合が多いように感じられます。いずれにしても、思考と感情と行動が密接につなぎ合わさっていることをご理解いただければと思います。

 

●自分の思考、感情、行動のパターンを記録してみましょう。

　

　思考も感情も、ご自身がこれまでに生きてきた環境や経験、持って生まれた特質などにより生じるものですから、その思考や感情が自分を傷つける行為に至らせるものとわかっていても、そうやすやすと変えられるものではありません。そこでまずは、セルフワークとして自分の思考、感情、行動のパターンを記録していきます。どのような出来事によって、どのような思考、感情、行動を自分はとっているのかを記録表を用いて自分で記入します。それを続けることで自分のパターンを客観的に把握することが出来ます。その上で、自分を傷つけないですむ行動をとるためには、どのような思考（考え方）を持つと良いのかをカウンセラーと一緒に考えていきます。そして、より健康的な思考への変容（上書き）を図っていきます。

 

●自分を傷つける行為に代わるものを見つけましょう。

 

　記録するときは、自分を傷つける行為をした結果も記入するとよいでしょう。リストカットをした結果、どうなったか？過剰にアルコールや薬物を摂取した結果、自分にどのような影響が生じたか？などです。そして、自分を傷つけたくなる衝動にかられた時の、それに代わる適切な行動もカウンセラーと一緒に考えます。リストカットも飲酒も薬物も過食嘔吐も嗜癖であり刺激です。それに代わるもの、例えばリストカットがしたくなったら、冷たい氷を手首に当ててみるとかアロマをかいでみるとか、飲酒や薬物に関しては自助グループの仲間に連絡を取ってみるとか、自分を傷つけない行動に変えていくことを目指します。それが出来た時には好きなものを食べてよいとか、自分にご褒美をあげてみても良いでしょう。

 

●思考や行動に働きかけて負のスパイラルからの脱出を図る。

 

このように、思考、感情、行動のパターンを客観的にカウンセラーと一緒に点検していって、それに代わる思考や行動を考えて実践していくことで、段々と感情にも変化が生じてきます。感情自体はとても根強いものがあって、根本から変えていくには幼少期の出来事にまで遡ってご自身の感情と向き合うなど、時には苦しみを伴う作業を根気よく丁寧にカウンセラーと一緒に行っていく必要があります。しかし、少なくとも自傷を伴うような危険な行動からの回避、負のスパイラルからの回避は思考や行動に働きかけていくことによって実現していくことが可能です。

感情に囚われて、自分を傷つけずにいられない方、少しでも改善を図りたいと願う方、お一人で苦しまずにぜひ一度ウェッピーカウンセリングルーム日野までご相談いただければと思います。お問合わせ・ご相談は無料です。みなさまのご連絡をお待ち申し上げます。あなたの心が癒されますように。