上司や権威的・威圧的な人などに対しての人間関係で悩まれている方へ向けたカウンセリング療法として「基礎的な4つのマインドフルネス療法」をご紹介します。

基礎的なマインドフルネス

 前回のブログで、なぜ対人関係においてマインドフルネスが有効なのか?を述べました。今回は、マインドフルネス・スキルの基礎的な方法を4つご紹介します。幼少期や子供の頃に、親が威圧的だったり、いじめに合ったりと緊張した環境の中で生育すると、同様のタイプの人の前では大人になっても緊張してしまう人がいらっしゃいます。アダルトチルドレン複雑性PTSD(トラウマ)のように深い心の傷を負った方にとってはとても大きなストレスとなり、背中や首の痛みやチック症状など身体に影響が現れることも珍しくはありません。中には緊張感を克服しようとしたり、癒したりするためにアルコールなどに依存するケースもあります。マインドフルネス・スキルは自分も相手もありのままを受容するスキルです。それが身についてくると相手に対する恐れも減少し、緊張も和らいできます。その基本的なスキルをご紹介しますので、緊張しやすいタイプの方はぜひご一読ください。

 

●対人関係におけるマインドフルな状態とは?

 

 例えば、苦手な上司と対面しなくてはならないときに、「この人は威圧的でいつも怒っていて怖い、私はこのような人が苦手だ」などと自分の価値観で判断してしまうと、最初から身構えて自分自身で緊張状態にしていることになります。このように自分のことや相手の価値を自分の考えで決めつけることを「価値判断する」と言います。マインドフルな状態とは価値判断をせずに、冷静に自分も相手も受け入れて対応するということです。ある意味、俯瞰から捉えて自分も相手も客観視するという感じでしょうか。これが出来るようになると人間関係はとても楽に感じられるようになります。

 

●4つのマインドフルネス・スキルの目指すところとは?

 

 一つ目は、現在の瞬間に焦点をあてるということです。二つ目は、自分の思考や感情、身体的感覚を認識するという事です。三つめは意識の流れに焦点を当てます。四つ目は思考を感情や身体的感覚とは別のものとして意識します。アダルトチルドレン複雑性PTSDの方は、相手に対する恐怖感を身体が思い出して反応してしまうので、どちらかというと思考よりも感情が優先される傾向があります。もちろん「この人は怖い人だ」などの思考(価値判断)は頭の中を駆け巡ってはいるのですが、それと同時に「恐い!」との感情の方が前面に出てきてしまうのです。自分の思考をもっと客観視出来るようになると、感情も和らいできます。

 

●では、どのようなマインドフルネスを行うのでしょうか?

 

 一つ目の目的に対しては、自分の呼吸に意識を向けながら時間の感覚に焦点を当てるマインドフルネスがあります。目を閉じて呼吸に意識を向けて1分経ったと思ったら目をあけて時間を確認してみましょう。まだ時間は余っていたのか、大体合っていたのか、それとも時間を大幅に超えていたのか、などで自分の時間に対する感覚がわかってくるでしょう。今この瞬間に焦点を向ける練習です。二つ目の目的に対しては、今、自分は何を考えているのか、どのような気持ちでいるのか、身体はどのように感じているのかに対して一つ一つ焦点を当てていく練習です。普段は意識していない、自分の思考、感情、身体の状態が見えてくるでしょう。三つ目の目的に対しては、例えば3分間のタイマーをかけて目を閉じて、思考に焦点を当てます。いろいろな考えが次から次へと浮かんでくると思います。それを数えてみましょう。その数に20を掛けると1時間に浮かんでくる思考の数がわかります。自分でも驚くくらいの数になるのではないでしょうか。4つ目の目的に対しては、浮かんできた思考に焦点を当ててそれを頭の中で言葉にしてみてください。「あぁ、私は今、明日の仕事であの人と組まされたら嫌だなぁと考えている」など。次にその思考を手放していきます。空に浮かんだ雲をイメージして、その雲に思考を乗せて風に流していくイメージはいかがでしょうか。あなたのお好みのイメージで行ってみましょう。

 

●マインドフルネス・スキルは継続が大切です。

 

 自分の思考や状態が客観視できるようになると相手のことも良く見えるようになってきます。自分を苦しめている感情が取れてくるので頭もスッキリしてくるのでしょう。そうなると、今まで怖がっていた相手が、なぜこんなに怖がっていたのか不思議に感じることも少なくありません。ただし、マインドフルネスはすぐに効果が表われるというよりも、日々継続して行う事で効果が身体に染みわたっていき、気が付いたら恐れが取れていた、というような感じです。緊張が取れてくると身体も楽になっていくので、メンタル全体が整えられていくのです。

 そして、マインドフルネスには目的に応じて様々な方法がありこの一連のブログでも紹介しています。これからも紹介してまいりますので是非ご一読いただけたらと思います。マインドフルネスを用いた心理療法は、近年効果がますます評価されるようになり、心理療法の中でも中心的な位置を持つようになってきました。まずは、カウンセリングの場にてカウンセラーと一緒にご自身の状況にあったマインドフルネスを行ってみることをお勧めいたします。あなたの心が少しでも癒されますように。

 

●最後に

 

ウェッピーカウンセリングルーム日野」では、主に対人関係で苦しんでいる方たちのカウンセリングを行っています。カウンセラーの上原自身も、アダルトチルドレンで苦しみ、それを乗り越えてきた経験を持ちます。その経験を活かして同じような苦しみを抱えている方たちの気持ちに寄り添いながら、その方に適した心理療法を提供してまいります。ここに挙げた心理療法もカウンセリングを通して行う事でより適切な効果を得ることが出来ます。お一人で苦しまずに、まずはお気を楽に持ってご相談いただければと思います。お問合わせ・ご相談は無料です。ホームページ内にお問合わせ先を明記してありますで、皆様からのご連絡を心よりお待ち申し上げます。