職場などでの人間関係で悩んでいる方たちにとって有効なカウンセリング療法に「マインドフルネス療法」があります。では、なぜマインドフルネスが効くのでしょうか?

マインドフルネス・スキル

 職場などで上司や、同僚のことが気になって業務に集中できずに疲弊してしまうようなことはありませんか?特に、権威的な人や高圧的な人、押しの強い人や攻撃的なタイプの人が気になるのではないでしょうか。気になってしかたない人の心の奥底にはアダルトチルドレン複雑性PTSD(トラウマ)のように、幼少期や子供の時期に虐待やいじめなどで心に深い傷を負っている場合が多く見られます。虐待をされた覚えはないと思っていても、親が高圧的であったり、好きなことを否定されたり、ダメな奴だなどと言われたりしたことが幼い子供にとっては深い心の傷となってその後の人生に影響を及ぼしてしまいます。また、自閉症スペクトラム(発達障害)をお持ちの方の中にも、周囲との連携が苦手なタイプの方がいて、人間関係で疲弊してしまうようなことがあります。マインドフルネスは、物事をシンプルにありのままに捉え、人間関係の悩みの根源となる余計な思考を手放すためのものでもあります。そのためのマインドフルネス・スキルのことを詳しくお知りになりたい方はぜひご一読いただけたらと思います。

 

●マインドフルネス・スキルとは、どのようなことを指すのでしょうか?

 

マインドフルネスは瞑想としても知られていて、キリスト教や、ユダヤ教、仏教、イスラム教など世界の名だたる宗教においても語り継がれてきた有益なスキルです。近年では宗教的でない形でマインドフルネス・スキルが心理療法や精神療法として取り入れられるようになりました。うつ病の予防や不安の軽減、摂食障害や慢性的な体の痛みにも効果があるとの研究報告もなされています。また、リラクゼーション効果によりストレスコーピング(対処法)としても効果があることが明らかにされています。

では、マインドフルネスとは厳密にいうとどのようなことを指すのでしょうか?心理療法的に述べると、「自分のことや他人、周囲で起きていることを自分の経験からくる価値観で判断せずに、ありのままの現実を捉えること」となります。わかりやすくいうと、「自分のことも含めて今の状況を客観的、そして冷静に捉えること」になりますでしょうか。

 

●ありのままの「今」を肯定的に受け容れてみましょう。

 

 「一期一会」や「日々是好日」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。今、この瞬間はこの時だけのもので、「今」を大切に生きる。あるいは、今日という日は何が起きたとしてもこれで良い日なのだと、ありのままを肯定的に受け容れる。という感じでしょうか。これは、「マインドフルに生きなさい」と言っているのと同じです。

 今、あなたは何をしていますか?このブログを読んでいますか?読んでいたとしたらスマホでしょうか、PCでしょうか?電車の中で読んでいるのか、自分の部屋にいるのか。読みながら他のことを考えているのかもしれません。そのような時でもあなたは呼吸をし、心臓は動き、そして身体を動かして何かに触れている感覚を感じているのです。もちろん思考も瞬時にして変化しています。同じ状態は二度と戻っては来ません。今、過ごしているこの時をこんな自分ではダメだとか、あいつはダメな奴だとか価値判断をしないで、ありのままにこれはこれでOKと受け容れることがマインドフルな状態という事です。徹底的受容と言い換えてもいいかもしれません。もちろん完璧にこの状態を作るのが無理であっても、マインドフルな状態に近づいてその状態が維持できれば出来るほどあなたの疲労感は無くなり、生きること自体が楽に前向きに変化していくでしょう。

 

●「マインドフルネスでない」とは、どのような状態を指すのでしょうか。

 

 では、マインドフルな状態とは逆に、マインドフルではない状態とはどのようなことを指すのでしょうか。いくつか例をあげてみます。

・友人と話をしていたが喧嘩した恋人のことが頭に浮かんで、相手が何を話したかわからなくなった。

・休日に読書をしていたが明日の仕事のことを考えていて、気が付いたら内容を全然理解できていなかった。

・お風呂に入っている時、昼間起きた事を思い出して顔を洗ったのかわからなくなった。

・目的地に着いたのはいいが、何か考え事をしていてどうやって歩いてきたか思い出せない。

・早く家を出なくてはと気ばかりあせり、何から手に付ければいいかわからなくなった。

ここであげた例は、その場にいる人に対して価値判断をしているわけではないので、話を聞いてなかったでしょうと指摘されても、素直に謝ればそれほど影響を及ぼしたりするほどのもではないのかもしれません。しかし、以下のように価値判断した場合はどうでしょうか?

「職場で仕事を頼まれた。この人はいつも私にばかり物事を頼んで利用しようとしている。支配されそうで怖い、やろうと思えば出来るけどやりたくない、断ろう」いかがでしょう、その人を避けるようになり人間関係もギクシャクしていくかもしれません。また、断ったことへの恐れや罪悪感も生じるかもしれません。これではマインドフルな状態とは言えません。マインドフルな状態とはこの様な時にでも、「頼まれたことが出来るか出来ないか」、という事だけに意識を向けることです。マインドフルでない状態と比べて考えも感じ方もシンプルなものになるでしょう。

 

●なぜ、対人関係においてマインドフルネス・スキルが効果的なのでしょう。

 

 ここまで、お読みいただければマインドフルネスというもの、マインドフルな状態というものがご理解できたかと思います。アダルトチルドレンや複雑性PTSD(トラウマ)、または発達障害がゆえの生きづらさを抱えた方のように、対人恐怖や対人不信、それにともなう悲しみや怒りの感情が心の奥深くに傷として残っていると人とのやり取りの中で、その傷が瞬間的に頭をもたげます。そうすると、冷静で合理的な判断が出来なくなります。相手を支配しようとするか依存しようとするか、人との関係を上下関係(勝ち負け)で判断しようとします。本来健康的な人間関係というものは、上か下かではなくギブアンドテイク、対等なものです。その上でお互いの考えを主張しながらも譲り合って折り合いをつけていくものです。その関係を築くためにもマインドフルな状態、マインドフルネス・スキルを身につけるのはとても効果があると言えるでしょう。ウェッピーカウンセリングルーム日野のホームページ内のブログ「様々な心理カウンセリングのご紹介」にて、マインドフルネス・スキルの方法をご紹介しています。また、カウンセリングで行っているマインドフルネス療法のご紹介ページもありますので、ぜひご参照いただければと思います。あなたの心が癒されますように。

 

●最後に

 

  「ウェッピーカウンセリングルーム日野」では、主に対人関係で苦しんでいる方たちのカウンセリングを行っています。カウンセラーの上原自身も、アダルトチルドレンで苦しみ、それを乗り越えた経験を持ちます。その経験を活かして同じような苦しみを抱えている方たちの気持ちに寄り添いながら、その方に適した心理療法を提供してまいります。ここに挙げた療法もカウンセリングを通して行う事でより適切な効果を得ることが出来ます。お一人で苦しまずに、まずは気を楽に持ってご相談いただければと思います。お問合わせ・ご相談は無料です。ホームページ内にお問合わせ先を明記してありますで、皆様からのご連絡をお待ち申し上げます。