自分を肯定する言葉を見つける。

●断れないのはなぜか?
人から誘われたり、頼みごとをされると断ることが出来ずに、自分のやりたいことを犠牲にしてまで受けてしまう。本当は断りたいのにそれが出来ないのはなぜでしょう?以下に考えられる理由をいくつか挙げてみます。
・断って嫌われるのが怖い。
・いい人だと思われていたい。
・断ると相手に悪いと思ってしまう(罪悪感)。
・反射的にOKしてしまい、後で後悔する。
等々、いくつか挙げてみましたがご自身はいかがでしょうか?どれにも当てはまらないと思っていても、自分に深く尋ねてみると、どれかに近い傾向はあるのではないでしょうか。
では、これらの思いはどのようにして生まれるのでしょう?ひもといていくと、主に生育歴に関係しているのかもしれません。
●断ることが出来ない、その思いの根っこには子供の頃から抑圧してきた感情が潜んでいるのかも。
親の感情が安定していなかったり、親から否定され続けたりする環境の中で育つと自己肯定感が健全に育成されないことがあります。そのような状態の中で育った人たちをアダルトチルドレンと称します。ほんとうは自分がしたいことがあったはずなのに、好きなことがあったはずなのに、親の顔色を伺うようになって、自分の本当の気持ちに蓋をするようになるのです。そして良い子でなければ生きていけない、との考えを自分の中に刷り込んでいくのです。それは生きていくために身につけたことであり無意識化のうちに置かれることになります。
親の機嫌を損ねないように、親から好かれるように、自分を主張しないように、親の言う事を聞くように、これは全て生きていくために必要なことだったのです。親から健全な愛情を感じていれば、反抗期が生じるでしょう。それは、反抗しても親は見捨てないとの安心感があるからなのです。本人はいちいち考えていなくても本能的にそれを信じているのです。しかし、アダルトチルドレンの方は親との間に信頼関係が出来ていないので反抗するなどとても怖くて出来ないのです。
これらの要因から、断ること、つまり自分の意思を主張することに対して罪悪感や恐怖感、良い人でなければなどの指令が無意識のうちに自分の中で働いて、断ることが出来なかったり反射的に受けてしまったりするのです。
●問題の解決するには二つの方向からアプローチしていくことが有効です。
自分の意思を相手に伝えれるようになるためには、二つの方向からのアプローチが考えられます。一つは、今現在の状況改善に向けてのアプローチ。もう一つは、断れない原因となっている生育歴において傷ついた自尊感情に対するアプローチです。
今現在の問題に対しては、認知行動療法や弁証法的行動療法を用いて断れない場面に対してどのような感情や考えが生じたのかを丁寧に分析していきます。そしてそれに代わる新しい、見方を発見していくのです。断ったとしたらどうなるだろうか?そのことで嫌われるだろうか?自分が断られたらどう思うか?などをカウンセラーと一緒に考えていきます。そして、実際に誰かに頼まれるような場面に遭遇したら、勇気を持って断ってみるのです。そしてその結果を記録して自分の中に積み上げていくのです。なかなか行動に移すことが難しい場合はカウンセラーとのロールプレイを通して慣れていくようにします。そのようにして、断っても大丈夫との新しい考えにこれまでの思考パターンを上書きしていくのです。
もう一つの、過去の傷ついた自尊感情に対するアプローチは痛みを伴うアプローチでもあるので、特に丁寧に時間をかけて行っていく必要があります。交流分析やスキーマ療法、フォーカシング療法などを用いて過去の体験場面に遡って、その時の感情を再体験していきます。自分は本当はどうしたかったのか?どうしてもらいたかったのか?などへの気づきを通して抑圧してきた感情を解き放ってあげるのです。これは、ある意味年単位を必要とするアプローチでもあります。
●自分を肯定する言葉を見つける。
実際に、断るための行動を起こす時に、自分を勇気づけてあげるアプローチを一つご紹介します。まず、自分を肯定する言葉を一つ考えてみましょう。例えば「私にはノーという権利がある。それは決してわがままなことではない」とか、「私は他人の責任まで引き受ける義務はない」とかはいかがでしょう。その言葉を自分に向けて何度となく語り掛けてみるのです。いざという時にこの言葉を思い出すためには訓練が必要です。このキーワードを忘れないようにメモして目に付くところに貼ったり、朝のルーチンワークとして自分に語り掛けてあげても良いかもしれません。言霊と言って、言葉には力があり、人目が気にならない場所では声に出して自分に語り掛けてあげても効果が感じられるのではないでしょうか。それを繰り返すことで自分の中の自尊感情が少しづつではあっても上がっていくことにつながるでしょう。
●相手との関係性を客観的に把握する。
アダルトチルドレンのように断ること自体に恐怖を感じている方は、相手との関係性を客観視することが難しい方もいます。相手が自分にとってどのくらい重要なのかを、紙に書き出してみると客観視しやすくなります。よくよく考えてみると本当に重要な人間は一握りだったりします。本当は何よりも家族が一番大切なはずなのだけど、アダルトチルドレンの方は、権威的な人、つまり会社の上司や押しの強い同僚に対する恐怖心を抱いている方が多く、家族との関係を犠牲にしてまで職場での人間関係を優先してしまう方もいるかもしれません。そのような恐怖心も、カウンセリングを通して色々な角度から丁寧に見ていくことで和らげていくことが可能となります。
●生き方を変えたいと感じた方、カウンセリングにご関心を抱かれた方がいらっしゃいましたら、お気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野・東京宛までご連絡ください。
人の悩みの90%以上は人間関係にまつわる悩みです。特にアダルトチルドレンの方のように、厳しい家庭環境で育ってきた方は自尊感情がとても傷ついていて、その傷が生涯にわたって人間関係にゆがみをもたらして生きづらさへとつながっていくことが非常に多く見られるのです。アダルトチルドレンは病名ではなく概念です。その概念は幅広く、機能不全家族の中で健全な愛情を受けられずに、緊張した環境の中で育ったような方達全般を指します。それは、威圧や虐待などだけではなく、過保護や過干渉も含まれます。本人もそうとは気づかずにアダルトチルドレンの定義に当てはまる方も相当数いらっしゃるでしょう。
ウェッピーカウンセリングルーム日野・東京ではカウンセラー自身もアダルトチルドレンの苦しみを経験し、それを乗り越えた経験があります。同じ苦しみを抱えた方の気持ちに寄り添ったカウンセリングを理念として、その方の生きづらさからの回復に向けて共に歩んでいく伴走者でありたいと願っております。よろしかったらぜひお気軽に、ご連絡ください。あなたの心が癒されますように。