身体の外側と内側の感覚を意識しましょう。

●その状態、過覚醒では?
例えば洗い物など何か作業をしている時も、その事とは関係の無い人、特に嫌いな人や苦手な人の事が頭に浮かんでしまう。もしくは心配事や不安に思っていることが頭に浮かぶ。そのことについて色々と考えてしまう。
このように、その場にはいない人や今行っている事と関係の無い事など常にいろいろな思考が生じて頭の中が忙しい状態、これを指して過覚醒状態と呼びます。どのような思考が頭に浮かぶかは個人の特性によって違いはありますが、この状態は本人が自覚しているよりもかなり脳に負担が掛かっている状態なのです。要するに疲労常態にあるということです。脳自体は寝ている時も休むことなく活動しているのですが、その活動量がとても多くて慢性的な疲労感に包まれていることもあるのです。
●過覚醒状態の人とそうでない人の違い。
なぜ、過覚醒傾向になるのか?その要因として考えられるのは、主に幼少期などにおいての生育環境が影響していると思われます。親がアルコール依存症であったり、情緒が安定せずに癇癪を起したり、自分の価値観を強制的に押し付けてきていつも叱責されたり、家庭の中が緊張感や恐怖感に包まれていて、自分自身も常に親の顔色を伺うなどの緊張状態で育つと脳も常にアンテナを張りっぱなしになるので、過覚醒が常態化してしまうのです。
特に、そのようなアダルトチルドレンの傾向のある方は、恐れや怒りの対象相手、これから生じるかもしれない不安に思っていること等、苦しい考えが浮かんでしまうことがとても多いのです。
また、ADS、ADHDなどのような発達障害傾向の方も過覚醒の傾向は見られますが、発達障害の要因としては、やはり上記に挙げたような環境の中で脳に過度のストレスを受け続けたことも考えられるのです。
一概には言えませんが、過覚醒状態にない方は、普通という言葉は使いたくはありませんが、割と安定した環境の中で過ごされた方が多いのではないでしょうか。
●なぜ、マインドフルネスが有効なのか?
マインドフルネスの定義は、ありのままを受容することにあります。ありのままとは、自分も含めそこにいる人たち、出来事、環境全てをありのままに、と言うことです。そしてもう一つ大切なことは、今、この瞬間に意識を向けるということです。シンプルに表現すると「今を生きる」と云うことですね。「今」に集中することで、過覚醒の状態を和らげる効果があるのです。
●身体の内側と外側の感覚に意識を向けるマインドフルネス。
ここでは、自分の身体の内側の感覚と、そして外側の感覚(いわゆる五感)と言う感覚に意識を向けるマインドフルネスのご紹介をしたいと思います。「今」における自分の身体感覚や五感に意識を向ける事で、頭の中をめぐる思考と距離を置く効果があります。
身体の内側に意識を向けるマインドフルネスの基本は呼吸法です。ゆっくりと呼吸を繰り返す中で、息が鼻腔を通して身体の中に満ちていく感覚、お腹がへこみながら息が外に出ていく感覚などに意識を向けてみます。その他にも、心臓の鼓動や血液が身体の中を駆け巡る感覚、頭や肩やどこか緊張していないか等の感覚や、内臓の動きなどにも意識を向けてみると良いでしょう。身体の感覚に意識を向けるワークは慣れるまで時間を要するかもしれませんが、慣れてくると感じることが出来るようになっていきます。トレーニングと同じですね。
次は五感に意識を向けたマインドフルネスの紹介です。文字通り、五感、要するに「見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる」の感覚に意識を向けていきます。見るは、目の前の物の形や色などの造形に注目してみます。音は、耳を澄ませて周囲の音や自分の体内から発する音に集中して見ます。エアコンの音や外を走る車の音など耳を澄ませて音に集中していると、自分の心臓や呼吸の音(内側の感覚)も聞こえてくるかもしれません。嗅ぐは、匂いに集中し、味わうはキャンディーなどを口に含んで目を閉じて、味も含めて舌触りや噛んだ時の感触などの意識を向けてみましょう。触れるは、実際に何かに触ってみてその質感や肌触り、重みなどに意識を向けてみましょう。最初は五感の方が、意識しやすいかもしれませんね。
●マインドフルネスを日常生活の中で活用する。
マインドフルネスも慣れないうちは、その効果があまり感じられずに飽きて辞めてしまう方もいます。確かに向き不向きはあるかもしれませんが、マインドフルネスは心理療法の基礎を為す療法でもあるので、トレーニングだと思って日々継続して行っていくうちに効果が感じられるようになっていきます。習慣化することによって日常生活のシーンでも使えるようになっていきます。
思考が生じて、目の前の事に集中できていないことに気づいたら、呼吸法を使ってみたり、見ているものや触れているものの感覚に意識を向けたりする事で、思考と距離を置くことが出来るようになっていくのです。
●カウンセリングは様々な視点から、問題への解決に取り組んでいきます。
カウンセリングは、ここに紹介したマインドフルネスワークも含めて、様々なストレスコーピング(対処法)への取り組み、そして心の奥に隠された本質的な問題にもアプローチしていきます。
また、一人では気づけなかった自分の深い部分への気づきを得ることが出来ます。その気づきこそがとても大切なのです。
カウンセリングを受けてみたいと感じた方や、関心を持たれた方はぜひ一度ウェッピーカウンセリングルーム日野・東京宛までお問合わせ・ご相談をいただけたらと思います。あなたの心がどうか癒されますように。